はじめに
子どもの癇癪(かんしゃく)に困っている親御さんは多いのではないでしょうか?
今日の記事では、子どもが癇癪(かんしゃく)を起こしたときの対応方法について解説します。行動分析学*と言われる心理学の視点から解説するのですが、なるべく専門用語は使わずに簡単に説明します!
*行動分析学とは、行動の科学的な分析を通して、人間の行動の理解と改善を目指す学問です
まず伝えたいことですが、よい叱り方はありません。「叱る」=「罰で子どもをコントロールする方法」なのですが、この罰を与える方法に良い・悪いはなく、基本的にはすべてやってはいけないとされています。
なので、今回の記事では叱り方ではなく、癇癪(かんしゃく)よりも「ちょっとマシ」な行動を増やす方法についてお伝えします。
では、どのようにして対応していくのかいうと、望ましい行動には「メリットを与え」て、望ましくない行動には「メリットを与え」ないという方法です。
ちょっと難しいですね。。。
なので、
「アメ」と「アメなし」
この2つで覚えてください。
いいなと思った行動には「アメ」
あんまりだなと思った行動には「アメなし」
この2つを用いて癇癪(かんしゃく)に対応していきます。
子どもの癇癪(かんしゃく)への対応
まず、癇癪(かんしゃく)が起きたときに「アメ」を与えても意味がありません。
当たり前ですね(笑)
では、どうするか?
普通は叱ったり、怒ったりしてどうにか癇癪(かんしゃく)を止めようとするはずです。そうでなければ、子どもが欲しがっている物や活動を与えてなだめたりするかもしれません。
しかし、上記に挙げた対応はすべておすすめできません。
なぜなら、今後、その癇癪(かんしゃく)が激しくなったり、他の場面でも癇癪(かんしゃく)を起こすようになってしまうからです。
ではどうするのかというと...
怒るのでも笑うのではなく、ニュートラルに親がやるべきことを優先しましょう。
癇癪が起きている間は、その行動に反応せず、落ち着いて見守る、もしくは親のやるべきことをことを優先させることが大切です。
ただし、
決して子どもを無視しているのではありません。癇癪以外の行動、例えば落ち着いてきたり、言葉を発したりした時には、すぐに優しく声をかけ、寄り添ってあげてください。
具体的には「よく落ち着けたね」「頑張ったね」もしくは「うんうん、辛いよね」でもよいです。
そうするとまた癇癪(かんしゃく)を起こすことがありますが、その場合はまた落ち着くまで見守るか、親のやるべきことに戻ってください。
上記の対応ではすぐに癇癪(かんしゃく)は落ち着つきませんが、絶対に時間の経過とともに落ち着いていきます。
そして、長い目でみても癇癪(かんしゃく)を起こす頻度と激しさもマシになっていきます。
実はNG?!従来の「叱る」がダメな理由
ここまで、「叱る」ことは良くないと伝えていますが、なぜダメなのでしょうか?
それは、
「叱る」=罰による行動のコントロールだからです。
罰によるコントロールとは、子どもが嫌がることをすることで、子どもの行動を減らすことです。
悪い行動が減るならそれでいいじゃん!と声が聞こえてきそうなのですが、この点が非常に厄介です。
実はその場での行動は一瞬にして減るのですが、長い目で見ると増えたり、より激しくなることが行動分析学の研究からわかっています。
「叱る」こと、罰が引き起こすデメリットを下記に示しますね。
- 行動自体を減らしてしまう
- 何も新しいことを教えたことにならない
- 一時的に効果があるが持続しない
- 罰を使う側は罰的な関りがエスカレートしがちである
- 罰を受けた側にネガティブな情緒反応を起こす
- 罰を受けた側は隠れて問題行動をするようになる
- 力関係次第で他人に同じことをしてしまう可能性を高める
こんなにたくさんのデメリットがあります。
実は役に立つのは、その時の一瞬で長い目で見ると悪いことばかりなんですね。。。
だから、「ムチ」ではなく、「アメなし」で対応するんです。
目次1での対応の「落ち着いて見守る」「親のことを優先する」がこの「アメなし」の対応に該当します。
「アメ」を使って癇癪(かんしゃく)を減らす方法
ここでは癇癪(かんしゃく)が起こったときに、どう「アメ」を使っていくかを説明します。
ポイントは
ちょっとマシ
です。
癇癪(かんしゃく)がちょっとマシなとき、癇癪(かんしゃく)以外のコミュニケーションがあったときにすかさず「アメ」を与えましょう。
「アメ」って何?と思われるかもしれませんが、それは親からの「注目」です。
何も特別な声掛けやモノが必要なわけではありません。
優しく声をかける、隣に座る、頭をなでる、身体を引き寄せる
これだけで子どもはとてもうれしく安心感を覚えます。
なぜ親の「注目」が「アメ」になるかというと、それがないと子どもは生きていけないからです。
生まれたその瞬間から親の注目はその子にとって何物にも代えがたい「アメ」です。
だから、子どもは「みてみて」とうるさいほど自分に注目させようとします。
子どものそばにいるだけだったら暇だしと、スマホを触ったり、家事をしたりしたことはありませんか?
するとすぐに子どもから「ねえみてよ」「こっちきて」と言われた経験がある親御さんは多いと思います。
だから、癇癪(かんしゃく)がちょっとマシになった瞬間に優しく声をかける(注目する)ことで子どものちょっとマシな行動が増えます。
ちょっとマシなことをすると、同時に癇癪(かんしゃく)を起こすことはできませんから、その分癇癪(かんしゃく)は減っていきます。
これを繰り返すことで、癇癪(かんしゃく)が落ち着き、ちょっとマシなコミュニケーション、たとえば、「買ってよ」「もっと遊びたい」と言う言葉が増えていきます。
言葉が増えたらもっと「ちょっとマシ」な言い方や訴え方を考えることができますし、何より親子のコミュニケーションが増えるのが素敵ですね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
正直、この方法はとても大変です。
すぐに癇癪(かんしゃく)が収まるわけではありませんし、今まで叱ることで癇癪(かんしゃく)を止めていた方はさらに癇癪(かんしゃく)と向き合わなければなりません。
罰を与えることは簡単で一瞬にして癇癪(かんしゃく)を消すことができます。一時的には罰を与えることが最もよい癇癪(かんしゃく)への対応ということになるでしょう。
ただ、長期的に見ると、罰を与え続けることは子どもの健全な成長を阻害する可能性があります。 子どもは癇癪(かんしゃく)を起こすことで、自分の感情を表現しています。
その感情を受け止めてもらえず、ただ罰を与えられるだけでは、子どもは自分の感情を押さえつけてしまうかもしれません。
逆に、癇癪(かんしゃく)の際に落ち着いて見守ることは、子どもに「感情を表現しても大丈夫」というメッセージを伝えることにもなります。
子どもは安心感を得て、徐々に自分の感情をコントロールすることを学んでいきます。
確かに、この方法は最初は大変かもしれません。
しかし、長い目でみれば、子どもが自分の気持ちをコントロールするやり方を学ぶ機会となり、よりよい親子関係を築くことにつながると思います。
最後に、この記事を読んでこれまでの対応を反省された方もいるかもしれません
でも自分を「叱る」ことは止めてください。
自分に「罰」を与えることもあまり役に経たないことが心理学の研究からわかっています。
自分にも「アメ」と「アメなし」で対応してください。
最後まで読んでくれて本当にありがとうございました。
最後まで読んだ方は自分を褒めて、自分にご褒美をあげてください。
子どもへの対応を考えるのはそれからでも遅くありません。
このブログは下記の書籍を参考にしております。
どちらもめちゃくちゃよい本なので、気になる方はぜひ読んでみてくださいね!